初心者が最低限押さえておきたいカメラの基礎知識
「写真をはじめようと思っているけど、カメラについてあまり知らない」「カメラを買おうと思っているけど、APS-Cとか、F1.4とか、わからない言葉ばかり……」
写真を始めるためにカメラを買おうと思っても、初めてのカメラ選びは難しく、どれがいいのか迷ってしまいませんか?
さまざまな機種があり、しかもよくわからない専門用語も多いので、何を基準に選べばいいのかもわからないはず。
そのため初心者の中には、高いのに使わない機能がたくさんあるカメラを選んでしまったり、逆に機能が足りない安いカメラを選んで後悔する人もいるそうです。
カメラは大きな買い物だから、失敗したくないですよね。
カメラ選びで失敗して後悔しないためにも、基礎知識を理解してから購入するのがおすすめです。
この記事では、センサーサイズやレンズの種類など、これから写真を始める初心者が最低限覚えておくといいカメラとレンズの基礎知識をわかりやすくまとめました。
これから写真をはじめたい方やカメラの購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
ここで解説する基本的な知識を押さえておけば、自分にぴったりのカメラを見つけられますよ。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
初心者が基礎知識なしでカメラを買うと後悔するかも!?
初心者がカメラ選びで失敗しないためには、カメラやレンズの基礎知識を知っておくことが大事です。
基本的な知識を知っておくべき理由は2つあります。
- 自分の目的に合ったカメラを見つけられる。
- カメラ購入後、すぐに使いこなせる。
まず基礎知識を押さえておけば、自分にとって本当に必要な機能やスペックを理解して選べるので、あなたにぴったりのカメラやレンズを見つけられます。
レンズに関する知識、例えば「焦点距離」や「絞り(F値)」を理解していれば、自分が撮りたいシチュエーションに最適なレンズを選ぶことができますよ。
「やっぱりあっちのレンズにしておけばよかった」と後悔することもないでしょう。
また、初心者がカメラ選びでよく犯す失敗として、高いスペックや機能がたくさんあるカメラを選んでしまうことがあります。
実際には必要ない高スペックなカメラを選んでしまうと、「もう少し安いカメラでもよかったかな」と後悔してしまうかもしれませんね。
そして基本的な知識を知っておけば、カメラを買ってすぐに使いこなせるので、撮影がより楽しくなります。
それに基礎知識を理解しておくと、撮影のときにも役に立ちます。例えば、状況に応じて手動で設定を変更し、自分なりの表現をすることも可能です。
カメラ初心者でも基礎知識があれば、あなたがSNSで見かけたような素敵な写真を撮れるでしょう。そしたら写真を撮るのがもっと楽しくなるはずです。
ぜひ基礎知識をしっかり覚えていきましょう。
デジタルカメラの種類
まずはカメラの種類についてです。
カメラは大きく分けると「デジタルカメラ」と「フィルムカメラ」があります。今回は、現在主流となっているデジタルカメラにスポットを当てて詳しくご紹介します。
デジタルカメラはフィルムカメラと違い、画像をデジタルデータとして管理するので、フィルムカメラのような現像は基本的に必要ありません。
- デジタル一眼レフカメラ
- ミラーレス一眼カメラ
- コンパクトデジタルカメラ
一眼レフ、ミラーレス、コンデジはそれぞれ何が違うのでしょうか?
各カメラが持つ特性や機能を一緒に確認して、あなたの撮影スタイルに最適なカメラを見つけましょう。
デジタル一眼レフカメラ
デジタル一眼レフカメラは、多くのプロカメラマンに使われている本格派タイプのデジタルカメラです。一眼レフは主にキヤノン、ニコン、ペンタックス(リコー)の3社が展開しています。
ミラーレス一眼カメラが普及するまでは、プロアマ問わず一眼レフカメラが主流でした。近年ではミラーレス一眼カメラが主流となっているものの、いまだ根強い人気を誇るモデルも多いようです。
プロが使うイメージが強いかもしれませんが、最近は初心者向けのモデルも登場しています。
一眼レフは反射鏡(ミラー)という部品を使って、実際にレンズを通して入る光をそのままファインダーへと映し出すのが特徴です。そのため、撮影したい景色をリアルタイムで見ながらシャッターを切ることができます。
特にスポーツ撮影や野生動物の撮影など、瞬間を捉える撮影で力を発揮します。
また、レンズを交換できるため、さまざまなシチュエーションに対応することが可能です。
しかし、初心者には取っ付きにくい面もあります。
一眼レフはカメラ内部にミラー構造が存在するため、このあと紹介するミラーレスカメラよりも大きくて重い傾向が。しかしその分しっかりとした作りとなっており、堅牢性に優れるため、多くのプロカメラマンに支持されているそうです。
ミラーレスカメラと比べると価格が高い傾向にあります。購入を慎重に考えるべきですが、一度手に入れれば長い間、高品質な写真が楽しめます。
プロのように写真を極めたい方や一瞬のシャッターチャンスを逃したくない人、カメラそのものが好きだという方にはぴったりかもしれませんね。
ミラーレス一眼カメラ
ミラーレス一眼カメラはその名前の通り、従来の一眼レフカメラにあった鏡(ミラー)がないタイプのデジタルカメラです。
ミラー構造がない分コンパクトで軽量なものが多く、一眼レフのような高画質な写真が撮れるので近年とても人気が高まっています。
ミラーレスカメラは、レンズから入ってきた光をデジタル処理をしてから、電子ビューファイダーや背面の液晶モニターに映し出されます。明るさや色合いなどの実際の仕上がりを確認しながら撮影できます。
どんな仕上がりになるのか撮影前に確認できるため、撮影しながら明るさや色合いなどを調整できるというメリットがあります。
しかし、ミラーレスカメラはイメージセンサーで受けた光を画像処理するので、一眼レフに比べるとわずかながらタイムラグがあるそうですでも最近のモデルではほとんどラグを感じないそうなので、そこまで気にする必要はないでしょう。
ミラーレスカメラは一眼レフ同様、レンズ交換が可能なのでさまざまな撮影シーンに対応できます。例えば、ある日は風景写真、別の日はポートレートのように自分の好みに合わせて楽しむことができます。
また、動画撮影に優れているモデルも多く、一台で写真と動画の両方を楽しめます。
さらにWi-FiやNFCなどの通信機能がある機種が多いので、撮影後すぐにSNS投稿を簡単にできるのもミラーレス一眼のメリットです。
ミラーレスカメラは電子的なシステムを使用しており、電気を多く消費するため、一眼レフよりバッテリーの持ちが良くありません。長丁場の撮影や宿泊を伴う旅行では予備のバッテリーが必要な場合があります。
コンパクトデジタルカメラ
コンパクトデジタルカメラはその名の通り、ポケットにすっぽり入るようなコンパクトで手軽に持ち運べるタイプのデジタルカメラです。一般的に「コンデジ」と呼ばれています。
コンデジは一眼レフやミラーレスに比べると、機能や性能はやや制限されますが、その分、手軽に持ち運びやすいのが魅力。操作も簡単なので、初心者の方や日常のスナップ写真を楽しみたい方には最適です。
多くの機種でオートモードを搭載しているので、初心者でも簡単にきれいな写真を撮影できますよ。
また、最近では大型センサーや高倍率の光学ズーム機能を搭載した、高画質や多機能が楽しめる「高級コンデジ」も登場しており、人気を集めています。
ただしレンズ交換ができないので、多様な撮影スタイルには対応しづらいかもしれません。ですが、スマホカメラからのステップアップとしては十分な性能を持っています。
価格も手頃なものが多いので、写真撮影に興味はあるけどまずは低予算で始めたいという方にもピッタリです。
「とにかく手軽に始めたい」という方や、普段使いや旅行などで「とにかく簡単に写真を撮りたい」という方にはコンパクトデジタルカメラがおすすめです。
コンパクトデジカメのメリット
イメージセンサー
ここに一台のカメラがあります。こちらはレンズを外した状態のカメラです。
中央を覗くと四角い窓のようなものが見えますよね。
これは「イメージセンサー」というもので、レンズから入ってきた光を受け止める場所です。
センサーサイズ
デジタルカメラには、写真を撮る際に光を受けて画像に変えるイメージセンサーという部品があります。そのイメージセンサーの大きさを「センサーサイズ」と言います。
センサーサイズの大きさが変わると、写真の品質やどれだけの光を取り込めるのかなどが変わってきます。
センサーのサイズにはいくつか種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
大きなセンサーサイズを持つカメラは一般に高価で、大きく重い傾向があるため、自分の好みや撮影の目的に応じて選びましょう。
あなたが何をいちばん重視するのかによって、選ぶべきセンサーサイズは変わってきます。
では、具体的にどのようなセンサーサイズがあるのか見ていきましょう。
フルサイズ
フルサイズセンサーは、主要なイメージセンサーの中ではとくに大きいタイプのセンサーサイズです。一般的に各メーカーのハイエンドモデルに搭載されています。
このセンサーサイズのメリットとして、高い画質を実現できることや美しいボケ味を得られる点が挙げられます。
大きなセンサーは多くの光を取り込めるので、暗い場所でもノイズが少なく美しい写真を撮ることが可能です。夜景や星空などの撮影にも適しています。
しかしその反面、カメラ本体が大きく重たくなる傾向があります。でも最近では、フルサイズ機でも非常にコンパクトなカメラが登場しています。
たとえば、ソニーの『α7c』というカメラはフルサイズセンサーながら小型・軽量な設計となっており、人気の機種です。
また、フルサイズセンサーのカメラは価格が高めな傾向があります。購入を検討する際は、これらを考慮して選びましょう。
APS-C
APS-Cセンサーは、フルサイズよりも一回り小さなセンサーサイズで、画質を極力落とすことなく、ボディの小型・軽量化や低コストを実現した、非常にバランスの撮れたセンサーです。
そのため、多くの初心者向けミラーレスカメラや一眼レフカメラに採用されています。
光の取り込み量はフルサイズよりも少ないですが、それでも十分に高画質な写真が撮れます。さらに、カメラ本体とレンズが小さく軽量なので、持ち運びがしやすいです。
価格もフルサイズミラーレスと比べると比較的お手頃なので、初心者にはおすすめですよ。
しかしフルサイズに比べて、光の少ない暗所の性能やボケの質感には差があります。
でもメーカーや機種によっては、フルサイズに匹敵する美しい写真が撮れるカメラも。
カメラ初心者でも比較的手の届きやすい価格帯でありながら、十分な機能と性能を持ち合わせており、コストパフォーマンが優れているので、APS-C機は人気があります。
カメラ初心者が最初に選ぶカメラとしては、いい選択だと思いますよ。
マイクロフォーサーズ
マイクロフォーサーズはAPS-Cよりもさらに小型で、一般的にデジタルカメラでよく使われるセンサーサイズとしてはいちばん小さいセンサーです。
マイクロフォーサーズのカメラは小さくて軽いボディでありながら、高画質を実現しているのが特徴です。また、レンズも小型設計なのでカメラとレンズ込み全体が非常にコンパクトになります。
携帯性やコンパクトさを重視する方に人気があります。とくに、旅行やハイキングなどでカメラを持ち歩く際には便利でしょう。
価格帯も安価で、ボディ本体とレンズのセットでも6〜7万円ほどで購入できます。
ただし小さなセンサーなので、フルサイズやAPS-Cに比べると画質や暗い場所での性能には劣ることもあります。
そのため、夜間の撮影や夜景を撮りたいのであれば、APS-C以上のセンサーサイズがおすすめです。
入門機として十分な基本性能はありますし、なにより気軽に写真を撮るという面では優れています。
センサーサイズの違いで写真にどんな影響があるの?
カメラのセンサーサイズは写真撮影における重要な要素で、センサーサイズが異なると写真のクオリティに影響があります。
そのため、カメラを選ぶ際にはセンサーサイズをよく検討する必要があります。
カメラのセンサーサイズの違いが写真撮影にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
センサーサイズが大きいとよりきれいな写真が撮れる
センサーサイズが大きいデジタルカメラは、多くの光や色彩情報をキャッチできるので、よりきれいな写真が撮れます。
これによって、色や明るさのグラデーションが滑らかで、細かい部分もはっきりと表現することができるのです。
具体的には、センサーサイズが大きいと1画素当たりの光と受け取る面積も増えるため、光が多い場面でも光が少ない場面でも、しっかり写真を撮ることができます。
そのため、夕暮れ時の美しいグラデーションの流れをより豊かに表現できたり、明暗差が大きいシーンでの白とびや黒つぶれを抑えられるのです。
このように、センサーサイズが大きいカメラは色彩の豊かさ、明暗のコントラスト、そして細部までの表現力に優れています。
とくに美しさと細部の表現が求められる風景やポートレート撮影で、そのメリットを最大限に発揮できます。
センサーサイズが違うと画角が変わる
画角とは、カメラがどれだけの範囲を撮影できるかということです。
センサーサイズが大きいほどより広い範囲が写すことができます。逆に、小さいセンサーサイズでは写せる範囲が狭くなります。
つまり同じ焦点距離のレンズを使った場合、センサーサイズによって写る範囲が変わってくるということです。
具体的な例として、フルサイズとAPS-Cサイズのカメラに同じ35mmのレンズをつけて撮影するとしましょう。
この場合、APS-Cのカメラで撮影した写真は、フルサイズで言うところの50mm程度の画角になります。
このように、フルサイズとAPS-Cのカメラに同じ焦点距離のレンズをつけて、同じ場所から撮影した場合、APS-Cのほうがフルサイズより画角が狭くなるのです。
一方で、大きなセンサーを持つカメラは、同じ場所からでもより広い範囲の景色を写真に収めることができます。
このように、センサーサイズが違うとその結果として画角も変わります。
ちなみに、風景写真では広い範囲を撮影したいと多くの人が考えるため、大きなセンサーサイズが有利だそうです。
センサーサイズが違うとボケ感が変わる
ボケ感は、被写体(撮影対象)にピントが合い、その前景や背景がどれだけぼんやりとした形で表現されるかというものです。
フルサイズのような大きなセンサーを搭載したカメラは、狭い範囲に焦点を合わせやすく、その結果、背景のボケが美しく、立体的に表現できます。
とくに被写体を印象的に魅せたいポートレートや商品写真など、被写体を際立たせたい場合には大きなセンサーが有利です。
一方で、マイクロフォーサーズのような小さいセンサーを持つカメラは、被写界深度が比較的広くなる傾向があり、風景写真などで全体をシャープに捉えたい場合には利点となることもあります。
「被写界深度」という専門用語がボケ感を量る際に使われます。
被写界深度が「浅い」とは、ボケ感が強いということ。逆に「深い」とは、ボケ感が弱い、すなわち多くの範囲がはっきりと見える状態を指します。
具体的な例として、フルサイズのカメラでF1.8の開放絞りで撮影した場合、同じ条件でAPS-Cやマイクロフォーサーズのカメラで撮影した時よりも、背景のボケ具合は大きくなります。
このように、センサーサイズによって得られるボケ感は大きく異なり、それが写真の印象を大きく左右する要素となっているのです。
センサーサイズが大きいと暗い場所でもきれいに撮れる
大きなセンサーを持つカメラ、特にフルサイズセンサーを搭載したカメラは、暗い環境でも高品質な写真を撮影できます。
これは、センサー大きい分、より多く光を捉えることができるからです。フルサイズセンサーはAPS-Cセンサーよりも約2倍ちょっとの面積があり、その結果、たくさんの光をキャッチできます。
例えば、夕暮れ時の風景や夜景、室内など、光量が限られている場合、フルサイズセンサーのほうがAPS-Cセンサーに比べて明るく、ノイズの少ない写真を撮ることができます。
つまり、センサーサイズが大きいほどより多くの光を取り込むことができるので、暗い場所でもきれいな写真が撮影できるというわけです。
メーカーや機種によっては、暗所性能に優れたAPS-Cカメラもありますが、一般的にはフルサイズが優れていると言われています。
また、最近は技術進化により、小さなセンサーでも十分な暗所性能を持つカメラも増えてきました。レビュー記事やYouTubeのレビュー動画では作例を出してくれることがほとんどなので、参考にしてみてください。
このように、センサーサイズは暗い場所での撮影に大いに影響します。暗い環境での撮影が多い場合は、フルサイズセンサーを搭載したカメラを検討してみるといいでしょう。
画質や暗所性能を重視する場合は、フルサイズまたはAPS-Cセンサーのカメラを。
携帯性やコストパフォーマンスを重視する場合は、マイクロフォーサーズのカメラが最適な選択となります。
カメラの画素(ピクセル)とは?
画素(ピクセル)とは、カメラのイメージセンサー上に並んだ、光をデジタル信号に変える受け皿のことです。一つ一つの受け皿が光をキャッチし、それらが集まって1枚の写真となります。
カメラのスペック表でよく見かける「2000万画素」というのは、センサー上にいくつの画素が並んでいるか表し、これを画素数と言います。
例えば、富士フイルムのX-S20の場合は「2610万画素センサー」を搭載しています。このカメラは、約2610万の画素が集まって画像が作られているということです。
基本的には画素数が多ければ多いほど、細かい部分まで詳細に写し出すことが可能になります。
とくに風景写真では葉っぱの細かなディティールまで表現してくれるので、高画素を活かした写真が撮影できるでしょう。
しかし、画素数が多ければいいというわけでもありません。
カメラの画素数は多ければいいの?
「カメラは画素数が多ければそれだけきれいな写真が撮れるということでしょ?」と思う方も多いのではないでしょうか?
カメラ選びをする際に、画素数は重要な要素の一つだと思います。ですが、実際には画素数だけがカメラの性能を決めるわけではありません。
確かに画素数が高いほど、より綺麗かつ鮮明な写真が撮れるでしょう。
しかし、必ずしも画質が良いとは限らないのです。実際にはセンサーサイズやレンズの質、プロセッサ(画像処理)の性能など、ほかにも多くの要因が画質に影響を与えます。
たとえば、画素数が多くてもセンサーサイズが小さいと暗所での撮影が苦手な傾向があり、ノイズが乗りやすいと言われています。
一般的に画素数が増えると1画素あたりのサイズが小さくなり、光を受け取る量が限られるからだそうです。
例えば、同じAPS-Cセンサーで、4020万画素と2610万画素のミラーレスカメラがあった場合、4020万画素のほうが高精細な写真が撮れるでしょう。
だけど、2610万画素のほうが画素数が少ない分、一個一個の画素が大きいから高画素数のカメラよりも多くの光を受け取れるので暗所に強い傾向にあります。
また、画素数が多いとファイルサイズが大きくなるため、保存に必要なSDカードの容量も増えます。さらに、パソコンで写真編集する際も、ファイルサイズが大きいので負荷も高くなります。
カメラに取り込む光量を調整する三要素:F値・シャッタースピード・ISO感度
カメラのレンズを通して光を集め、それをイメージセンサーでキャッチすることで写真が出来上がります。
このカメラのセンサーにどれだけの光を届けるかということを「露出」と言います。
この光の量がちょうどよくないと、光量が足りず黒くつぶれた写真になってしまったり、逆に光を入れすぎてしまい、白飛びした写真になってしまいます。
そのため、撮影するシーンや目的に合わせて露出を調整することは写真撮影においてとても重要なのです。
そして、この光の量(露出)のバランスは「F値(絞り)」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つの組み合わせで決めます。
これらを理解し、うまく操ることで、写真の明るさだけでなく質感や雰囲気もコントロールすることできます。
F値、シャッタースピード、ISO感度を理解しておけば、カメラとレンズを選ぶ際にも役立ちますよ。
つまり、F値、シャッタースピード、ISO感度を学ぶことで自分が思い描く写真が撮れるようになるのです。
それでは、写真の露出を決める三要素を詳しく見ていきましょう。
最近のカメラは優秀なものが多く、オートモードで撮影しても非常にきれいな写真を撮ることができますが、この三要素の関係性を理解することで表現の幅が広がますよ。
絞り(F値)
絞りとは、簡単に言えば、入ってくる光の量をコントロールするもの。絞りというのはレンズの中にあり、レンズから入る光の量を調整する部分のことです。
水道で例えてみましょう。蛇口を少し開けると出てくる水の量(光量)は少しだけ。逆にたくさん開ければ出てくる水の量(光量)も増えます。まさに絞りもこの蛇口と同じような仕組みです。
人間の瞳で考えるとより理解が深まるでしょう。明かるい場所から暗い場所に行くと、その暗さで最初は真っ暗で何も見えなくなりますよね。
でも徐々にその状況に目が慣れてきて、見えるようになります。これは目が勝手に瞳孔を大きく開いてくれるので、暗いところでも見えてくる、という仕組みです。
逆に暗い場所から急に明るいところへ出ると、眩しくて目がくらみます(カメラだと白飛びした状態)。人間の瞳孔のように、光の調節をしてくれる機能がカメラの絞りということ。
そしてF値は、その光の量がどれくらい入るようにするかを示した数値。F値を変えることでその光の量を調整することができます。
F2.8とかF1.4と、F値が小さくなるほどたくさんの光を取り込むことができます。逆にF11とかF22と、数字が大きくなれば取り込む光の量は少なくなります。
なので、F1.4やF2.8などのレンズを明るいレンズと呼び、F4.5やF5.6などのレンズを暗いレンズと呼びことが多いです。
また、絞りはただ単に光量をコントロールするものではありません。ぼかし具合にも影響します。いわゆる背景ボケのこと。
F値を数字を大きくすると、全体にピントが合うようになります。景色を撮影する場合、全体をしっかり捉えたいので全体にピントが合うように。
逆にF値を小さくすると、被写体にピントを合わせることで背景がボケやすくなります。
たとえば人物を撮影する際、その被写体を際立たせるために人物にピントを合わせ、背景がボケすためにF値を小さくする、といった感じに。
絞りの役割や効果を覚えることで表現の幅が広がります。
シャッタースピード
カメラはシャッターを押したときだけイメージセンサーに光が当たり、その瞬間が写真におさめられます。
シャッタースピードは、シャッターを開けている時間であり、どれくらい光をためるかということ。シャッターを長く開けておけばたくさん光を集めることができますし、逆に短い時間だと取り込む光の量は少なくなります。
こちらも水道でたとえてみましょう。
蛇口を長い時間開けておけば、それだけたくさんの水をコップにためることができます。反対に短い時間しか開けなければ、少ししか水をためることができません。
つまり、シャッタースピードを上げれば、たくさん光を集めることができるので写真は明るくなり、逆に下げれば光は少ししか集めることができないので、写真は暗くなるということ。
シャッタースピードの表記は、「1/250」とか「1/2000」という言い方をします。分母の数字が大きければシャッタースピードは速くなり、分母はの数字が小さければ遅くなります。
しかしシャッタースピードを調整する場合は注意が必要です。シャッターを開けている間、イメージセンサーは光を受け取り記録します。
光がもっとほしいからといってシャッタースピードを遅くすれば、つまりは長い時間にすれば、その間は被写体などが動けばそれも記録されるのです。場合によってはブレた写真ができあがってしまいます。
それを活かした写真を撮りたいのであればいいのですが、動いている被写体の一瞬を撮りたいのであればシャッタースピードを速くする必要があります。
シャッタースピードが短ければ記録される時間は短くなり、手ブレを防ぐこともできます。
シャッタースピードをあえて長くして、車のテールランプが流れるような写真を撮ったり、シャッタースピードで速くして、水滴が落ちる一瞬を切り取った写真を撮影したり。
このようにシャッタースピードは光量の調整だけではなく、動きもコントロールすることができるのです。
そして、先ほど解説した絞りとシャッタースピードは互いに影響し合っている関係にあります。なので、うまくバランスをとる必要があります。もちろん、オートモードで撮る場合はとくに難しいことを考える必要はありません。
ISO感度
絞りも絞って(F値を大きく)、シャッタースピードも上げたい、という場面があります。そうなると、とても暗い写真ができあがってしまうでしょう。
そんなときに明るさを調整するのがISO感度というものです。ISO感度とは、カメラが光を捉える能力、敏感さのこと。どれくらい光に対して感度をコントロールするか、それがISO感度です。
マイクの感度で考えてみるとわかりやすいでしょう。大きい声であれば感度が低くてもその音は拾えます。
ですが、小さい声であればどうでしょうか。感度が低いままだと声がうまく拾えず、音が小さくなってしまうはずです。
なので感度を上げて小さい音や少し離れた音も拾えるようにします。しかしその代わりに、ノイズといって雑音が入ってしまい、音が汚くなってしまう、ということも。
ISO感度もこれと同じで、光を捉える感度を上げることで絞りやシャッタースピードで取り込めない光量を補うことができます。
少ない光でも、カメラがその少量の光をキャッチする能力を高めて、少ない光でも明かるいときと同じようにしてくる役割をしてくれるのです。
先ほどのマイクの話をしたときと同様で、ISO感度を上げると、写真にノイズがのってしまうという問題が発生します。写真がザラつき、見栄えが悪くなってしまいます。
なので無闇に上げればいいというものでもないのです。ISO感度は電子的に光を増幅させているので、半ば強制的に明るくしているのです。
上げれば上げるほどノイズが増え、写真の美しさが失われてしまうという結果に。
ISO感度は極力下げたほうがきれいな写真は撮れます。どうしても光が足りないという場合の最終手段として使うといいでしょう。
カメラレンズの焦点距離とは?
カメラのレンズを選ぶ際、「18mm-55mm」とか「35mm」といった数値を見かけると思います。この数字は焦点距離を示しています。
焦点距離とは、わかりやすく説明すると、レンズに記された「〇〇mm」の数字によってどれくらいの範囲(画角)が撮影できるかを示したものです。
つまりレンズの焦点距離は、どれだけの範囲が写せるか(画角)を意味するのです。
レンズ選びでこの焦点距離はとても重要な要素となります。
焦点距離が短い(例えば20mmや24mm)レンズほど画角が広くなり、写せる範囲が広がります。一方、焦点距離が長い(例えば100mmや120mm)レンズほど画角が狭くなり、被写体を大きく写せます。
焦点距離は一般的に「〇〇mm」という数値で記されています。ズームレンズの場合は、「24-70mm」というように焦点距離の両端の数字で記されます。
焦点距離の違いによって写真の印象が大きく変わるので、何を撮りたいのかによって選ぶレンズも変わってくるよ、というわけです。
ただし、この焦点距離と画角の関係は、カメラのセンサーサイズにも影響されます。
35mm換算(フルサイズ換算)とは?
先ほど「センサーサイズ」について解説した項目で、デジタルカメラのセンサーサイズには「フルサイズ」や「APS-Cサイズ」といった種類があり、センサーのサイズによって同じ焦点距離のレンズでも写る範囲が変わるというお話をしましたよね。
35mm換算(フルサイズ換算)とは、フルサイズセンサーを基準にして画角を計算する方法です。異なるセンサーサイズのカメラでも、この計算方法によって画角を同じ基準で比較できます。
例えば、APS-Cセンサーのカメラに50mmのレンズを装着した場合、実際の画角(写る範囲)はフルサイズのカメラで撮影する50mmよりも狭くなります。
具体的には、APS-Cサイズでは焦点距離が1.5倍になるため、実際の画角はフルサイズの75mm相当になります。
つまり、焦点距離をフルサイズ相当に換算するのが「35mm換算(フルサイズ換算)」というわけです。
カメラレンズの種類
カメラを買う際、レンズ選びも重要なポイントです。とくに初心者が困るのは、「どの種類のレンズを選ぶべきか」という問題ですよね。
カメラのレンズは大きく分けると「単焦点」と「ズーム」の2つのタイプがあります。
それぞれ特長と用途が異なるので、あなたの撮りたい写真や用途に合わせて選びましょう。
単焦点レンズ
単焦点レンズは、一つの焦点距離しかないレンズです。
ズームはできませんが構造がシンプルなので、高い画質が得られるというメリットがあります。
単焦点レンズは明るい(F値の小さい)レンズが多く、暗い場所での撮影や背景をボカす表現に最適です。
デメリットとしては、焦点距離が固定されているため、撮影距離を変えたい場合には自分自身が動いてフレーミングを調整する必要があります。
また、一つの焦点距離しか使えないため、さまざまなシチュエーションに対応するにはレンズ交換が必要です。
単焦点レンズは、ポートレートで顔の表情をクリアに引き出したり、商品撮影で商品のディテールを際立たせる場合など、特定の被写体にフォーカスしたいときに最適です。
ズームレンズ
ズームレンズはその名の通りズーム機能があり、焦点距離を自由に変えられるため、一つのレンズで多彩なシチュエーションに対応可能なレンズです。
日常のスナップから旅行の風景写真、さらにはスポーツ撮影まで、一つのレンズで幅広くカバーできます。
フレーミングもズーム機能で簡単に調整できるので、例えば野鳥撮影のような近づけないような状況でも力を発揮しますよ。
デメリットとしては構造が複雑なため、単焦点レンズと比べて画質が落ちる場合があること。
また、ズームレンズは単焦点レンズほどの明るいレンズがないため、暗い場所での撮影が難しいと言われています。
単焦点レンズにはF1.4やF1.8のような明るいレンズがありますが、ズームレンズはF値が小さくてもF2.8程度です。
焦点距離の違いによるレンズの分類
カメラのレンズは焦点距離によって「広角」「標準」「望遠」の3つに分類されます。
それぞれのタイプにはメリットとデメリットがあり、自分が何を撮りたいかによって選び方が変わってきます。
標準レンズ
焦点距離の章で35mm換算で50mm付近の画角が、人間の視野に近いとお話しましたが、この画角の前後に相当するレンズを標準レンズと呼ぶことが多いです(呼び方に厳密な基準はありません)。
たとえば、18mm-55mm(35mm換算で27mm-84mm)の標準ズームレンズは、35mm(35mm換算で約50mm)前後をカバーしているので、標準レンズのズームレンズというカテゴリーに。
広角レンズ
広角レンズは、広い空の風景や大きな建物の外観、これ以上後ろへ下がることができない状況であっても、たくさんのものをフレームに入れたいというときに最適なレンズ。
写る範囲が広く、ピントが合う範囲が広いのが特徴です。
厳密な基準はないのですが、35mm換算で16mmから35mmあたりのレンズを広角と判断することが多いです。
そして広角レンズには「パースペクティブ」という広角レンズ特有の効果があります。これは被写体に近寄って撮影した際に、近くのものが大きく見えて、遠くのものが小さく見えるというもの。
この効果をうまく使いこなすことでダイナミックな、迫力ある表現ができるようになります。
望遠レンズ
遠くの被写体を撮るときや大きなボケの効果を狙いたいときに最適なのが望遠レンズ。
被写体を大きく写して迫力ある写真を撮影したり、背景を大きくぼかしたいときに効果的なレンズです。
そして望遠レンズの最大の特徴は、「圧縮効果」というもの。これは、遠くにある被写体がまるで近くにあるように大きく見せる効果のことです。
画角が狭い望遠で撮影すると、背景が大きく写り込み被写体との遠近感がなくなったように見えます。
望遠レンズは画角が狭いので、背景に余計なものを写すことなく、背景をシンプルにすることができるというメリットも。
こちらも厳密に何mmから望遠という基準はなく、35mm換算で70mmくらいから望遠と呼ぶことが多いと思います。
カメラのレンズマウントとは?
一眼レフカメラやミラーレスカメラは、ボディ本体にレンズを装着して使いますよね。しかしカメラには、どんなレンズもつけられる訳ではありません。
カメラ本体とレンズを繋げる部分(シルバーの金属部分)をレンズマウントと呼び、このマウントに合うレンズを付ける必要があるのです。
各カメラメーカーは、独自のレンズマウント規格を持っています。さらにやっかいなことに、同じメーカー同士でもつけられないものもあるので注意しなければなりません。
例えば、ニコンのカメラにはFマウントとZマウントがあり、フィルムカメラやデジタル一眼レフカメラにはFマウント、ミラーレスにはZマウントが採用されています。
このようにマウントの種類によって、どのレンズが使えるのかが決まります。カメラのレンズはどれでも組み合わせることができるわけではなく、マウントに合うものを選ぶ必要があるのです。
そのため、事前にお持ちのカメラにおいて採用されているレンズマウントを確認し、使うことのできるレンズを探すようにしましょう。
また、カメラのレンズはメーカー純正品以外にも、Sigma(シグマ)、Tamron(タムロン)などのサードパーティー製があります。
サードパーティー製のレンズは、メーカー純正品よりも安価な傾向があり、高品質なものも多くコスパに優れています。
ただし、複数のメーカーのマウントが用意されているので、間違わないように気をつけましょう。
基礎知識を覚えて自分にぴったりのカメラとレンズを見つけよう!
今回の記事では、これから写真を始める初心者さんに向けて、カメラとレンズの基礎知識についてわかりやすく解説しました。
カメラを購入するにあたって、基礎知識を押さえておくことは非常に重要です。
カメラとレンズ選びは初心者にとって難しい選択ですが、この記事で紹介した基礎知識をしっかりと押さえることで、失敗のリスクを減らすことができます。
あなたの目的にぴったりのカメラとレンズを選べるはずです。
さらに深く知識を増やしたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。