ビギナーカメラマン必読!動画撮影で覚えておきたいショットの種類を解説
映像・動画撮影において、「画面サイズ(ショットサイズ)」「カメラポジション」「カメラアングル」の特性を理解しておくことは必須スキルです。
同じ被写体でもさまざまなショットを活用していくことで、それぞれ違う効果や印象を与えることができます。
映像クリエイターを目指す方は絶対に覚えておきたいスキルの一つです。
今回は映像撮影の基礎であるショットテクニック(撮影手法)について解説します。それぞれの画が持つ性質を知って、人の関心を引く映像術を手に入れましょう。
画面サイズ(ショットサイズ)
画面サイズ(ショットサイズ)とは、メインとなる被写体が画面内でどれくらいの大きさで映っているかを表すものです。
ここでは大まかに6つの基本サイズをご紹介します。
- ロングショット
- フルショット
- ニーショット
- バストショット
- クローズアップ
- 超クローズアップ
人によって各サイズの呼び方が違う場合もありますが「どのサイズ感にどんな特性があるのか」を理解しておけば問題ありません。
画面サイズ(ショットサイズ)の基本
基本的には引いた(被写体から離れた)映像になればなるほど情報量が多くなります。状況を説明する画としてよく使われることが多いショットサイズです。
情報量の多い映像は、その情報を頭の中で処理するのに時間がかかるため、引きの画を使う場合は長めにゆったりと見せるように心がけましょう。
反対に寄った(被写体に近い)映像になれば被写体のサイズは大きくなり、強さや迫力のある映像を表現できます。
引きの映像に比べてこちらは、単純な画でわかりやすい映像です。なので、秒数の短いカットでも観ている人は理解することができます。
ロングショット
ロングショットは、人物より背景の方が大きく映っているショットのことを指します。空間全体を見せることができるため、状況説明に使われることが多いショットサイズです。
ひと目で登場人物の居場所やその場の雰囲気を伝えることができる特徴があります。
たとえば、山頂から見える麓の街並みを見下ろして眺めている映像や、学校の校舎と校門の画、それから登校する生徒たちをぐっと引いた画など。
フルショット
フルショットは、メインの被写体(人物など)の全身が納まるショットのことです。
フルショットは被写体の全体像を写すとともに、被写体とその周りの環境や状況を同時に伝えることができます。
また、登場人物がどこに居るかを見せることができるのと同時に、「誰が」「何をしているか」という情報を観ている人に伝えることに使わるショットサイズです。
ほかにも「被写体の人物像がはっきりと映し出せる」特徴があったり、被写体の全体像を見せることで「その被写体の雰囲気や印象を引き出す」といった性質もあります。
そのため、フルショットは主に人の動きをとらえるために使われることが多く、アクションシーンやスポーツのシーンを撮影する際によく使われています。
ニーショット
ニーショットは、頭から膝下くらいまでの七分身を映すショットを指します。
ニーショットの大きな特徴は、フルショットよりも被写体の表情が見せることができ、被写体の動きをダイナミックに見せる点です。
被写体の動きを表現するのと同時に表情を見せるのに向いてるサイズ感なので、2人以上で並んで歩くような場面などで使われます。
バストショット
バストショットは、頭から胸までのショットを指します。
被写体の表情がわかるので、リアクションなどを捉えるのに最適です。そのため、被写体に注意を向けたいときにバストショット使うと効果的だと言われます。
また、バストショットはボディラインを見せない撮り方なので、表情でその被写体の印象を付けることができる特性もあります。
バストショットでは表情優先で、被写体の雰囲気を引き出すために効果的な撮影方法です。
クローズアップ
クローズアップは、顔全体が入るショットのことです。
目線の動きや息づかいなどもとらえることができるので、観ている人に登場人物への共感を促す特性を持っています。
クローズアップは表情重視の撮り方なので、感情や心象を強く引き出すのに効果的な撮影方法と言えるでしょう。
たとえば、被写体の感情を伝えたい場合や、注目してほしいものを見せたいときなどによく使われるショットです。
細かな感情を伝えるときや迫力ある画を表現したいときにはクローズアップを使うといいでしょう。
超クローズアップ
クローズアップよりもさらに寄ったサイズが、超クローズアップです。
感情によるわずかな表情を見せたいときに利用され、目元や口元にフォーカスしたショットとしてよく使われます。
ただし、このショットをあまり長い時間見せるのには適していません。普段ここまで他人に近づくことはないため、観ている人にストレスを与えてしまうからです。
裏を返せば、短時間でも十分な印象を残すことができるとサイズと言えます。
観ている人にドキドキした緊張感や緊迫感を伝えるには最適なショットでしょう。
カメラポジション
カメラポジションとは、被写体に対するカメラの撮影位置、つまり撮影する高さのことを言います。
- ハイポジション
- アイポジション
- ローポジション
ハイポジション
高い位置からの撮影を、ハイポジションと呼びます。
視界が遠くまで広がるショットになるので、説明的な映像であったり、爽快感を表現するときによく利用されるカメラポジションです。
アイポジション
人の目線と同じ高さから撮影したショットを、アイボジションと呼びます。
日常生活でもっとも目にする風景で、安定感がある映像になります。
ローポジション
低い位置からの撮影を、ローポジションと呼びます。
たとえば、歩いている足元をローポジションで撮影し、観る人にあえて「誰が、どこを歩いているんだろう?」と思わせたあとに、引いたサイズの画につないでその答えを示してあげる表現方法があります。
また、犬や猫などの目線として使われることも多いです。
カメラアングル
カメラポジションがカメラの高さを表すのに対して、カメラアングルはカメラの被写体に対する上下の角度を表します。
- ハイアングル
- 水平アングル
- ローアングル
ハイアングル(俯瞰)
被写体を見下ろすように撮影したショットが、ハイアングルです(俯瞰とも呼ばれる)。
ハイアングルには、全体の状況を冷静で落ち着いたものに見せたり、被写体の立場を弱くみせたりする特性があります。
また、客観性の強い映像になり、威圧感を感じさせる静的な表現という性質もあります。
料理動画など平面的に情報を伝えるときや、奥行きを強調する風景を撮るときなどにハイアングルで撮影すること多いです。
ほかにも物事を小さく見せたり、心理的な弱さを表現するなどの効果もあります。
水平アングル(目高)
水平アングルは標準的な角度のついていないアングルのことを指します。
日常よく目にする風景で、もっとも自然で安定した表現方法です。
ただし、安心感のある映像である分、日常で見慣れた視界なので面白みにかける画になってしまうので注意しましょう。
ローアングル(あおり)
被写体を下から見上げるように撮影するショットのこと。あおりとも呼ばれます。
躍動感や迫力ある映像を撮るのに向いており、感情に訴えかけやすいのが特徴のカメラアングルです。
ハイアングルとは逆に動的な表現力があり、遠近感も強調されます。実物よりも大きなイメージを観る人に与える効果があるため、迫力のある画にしたい場合に利用されることが多いと言われます。
また、ローアングルには被写体を力強く、威厳のある存在にみせる性質もあります。
まとめ
画面サイズやカメラアングル・ポジションを組み合わせて映像をつなげることで、視覚的にさまざまな変化が生まれます。変化を加わえることで映像自体にリズムが生まれ、人の関心を引く映像になります。
つまり、観る人を映像に引き込み、飽きさせずに最後まで楽しんで観てもらえる映像作品を出来上がるというわけです。
色んなサイズで撮ったり、色んなポジションから撮ってみたり、色んなアングルから撮影したりと、まずは色んなショットを試してみてください。
トライ&エラーを繰り返しながら、徐々にそれぞれが持つ特性や効果に気付けるはずです。経験を積み重ね、自分が表現したい映像に最適なショットを見つけてみましょう。
画面サイズ、カメラポジション、カメラアングルの特性やその効果を知ることは「人を映像の世界に引き込む術」を手に入れることにつながります。
だからこそ、その画をなぜ撮る必要があるのかをはっきりさせることが大切。明確な意図を持った映像は、観る人の関心を引くことができるから。